外出自粛の今、身に沁みる物語 『デカメロン』
新型コロナウイルス感染症の影響で、日本全国で緊急事態宣言が出され、2020年のGWは家で過ごしています。この期間を「我慢」と表現しているメディアも多いですが、感染症の終息が見えない中では、この日々が「ふつう」になっていく可能性の方が高いように思います。
感染症拡大による命の危険にさらされながら、家で過ごす日々。そんな今だからこそ身に沁みる物語があります。
ジョヴァンニ・ボッカッチョ(ボッカチオとも)による物語集『デカメロン』(Decameron)は、ペストから逃れるため屋敷に閉じこもったフィレンツェの男女10人(男3人女7人)が、10日間それぞれ一人一つずつ話をするという物語である。10人が10話ずつ語るため、全100話からなります。
そして、10人が語る際に話すテーマを以下の通り定めました。
1日目 自由なテーマ
2日目 多くの苦難をへたのち成功や幸福を得た人の話
3日目 長い間熱望したもの、あるいは失ったものを手に入れた話
4日目 不幸な恋人たちの話
5日目 不幸のあとに幸福に巡り合う恋人たちの話
6日目 とっさのうまい返答で危機を回避した人の話
7日目 夫を騙した妻の話
8日目 男が女を、女が男を騙す話
9日目 自由なテーマ
10日目 気高く寛大な行為についての話
ボッカッチョにはたくさんの著作がありますが、日本語に翻訳されているものは少ないそう。『デカメロン』は、河出文庫から平川祐弘訳で上中下の全3巻(各1100円)が出版されています。
外出自粛が長期化するなか、遠方の家族や友人とSMSなどを活用して、語り合っている方も多いのではないでしょうか。「現代版デカメロン」が世界各地で生まれているのかもしれませんね。
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