挿画で変わるピッピのイメージ

 鳥取県立博物館で開催中の「長くつ下のピッピの世界展 リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち」の展示を観覧してきました。鳥取県下でも、4月10日(金)に初めての新型コロナウイルス感染症の患者が確認され、翌日の11日(土)には多くの公共施設(図書館、歴史館、文化施設など)が休館されるなか、鳥取県立博物館では、感染予防対策を行いながら、特別展のみの開館になっています。


会場には、「長くつ下のピッピ」の原画をはじめ、ピッピの住む〈ビッレクッラ‐ごたごた荘〉の大型模型や、リンドグレーンの書斎を再現したコーナー(友人から贈られたという日本の能面がありました!)、「ロッタちゃん」シリーズのロッタちゃんの〈秘密の隠れ家〉も原寸大で再現されていました。


「長くつ下のピッピ」だけを見ても、世界100か国以上で翻訳され、さまざまな人が挿画を担当し、映画によって実写化もなされています。ピッピとの最初の出会いが、誰の翻訳で、どんなイラストだったのかで、各々の国の読者が持つ「ピッピ像」にちがいが出てくるのではないでしょうか。読者側の社会的、文化的背景ももちろん影響を与えそうです。でも、世界中で読み継がれる物語というのは、やっぱり強いメッセージ性があるのだと思います。これは、ほかの物語についてもいえることですが。



↑こちらは、イングリット・ヴァン・ニイマン画の「馬にのったピッピとサルのニルソンさん」。ニイマンは、1945年にスウェーデンで出版された初版本の挿画を担当した。

↑こちらは、桜井誠画の「長くつ下のピッピ」表紙原画(黒姫童話館所蔵)。1964年に岩波少年文庫から、大塚勇三訳で刊行された。

ニイマン画のピッピよりも大人びたイメージを与えます。

↑交友のあったリサ・ラーソンの「馬を持ち上げるピッピ」も、試作品とともに展示されていました。逆さまにして「ピッピを持ち上げる馬」にもできるデザインになっていました。

がっしりと力強いけど優しさあふれるピッピです。




展覧会での展示はありませんでしたが、日本ではほかにもいろんなピッピが描かれています…!

1971年に、演出:高畑勲、場面設計:宮崎駿、キャラクターデザイン:小田部羊一でテレビアニメ化を実現しようとしてできなかったピッピに始まり、各出版社の少年少女向けシリーズの各種挿画まで、今に至るまでにさまざまなピッピが生まれています。

下にいくつか紹介してみます。あなたが最初に出会ったピッピはいますか?また、これから出会うという人はどのピッピに惹かれますか?


高畑勲•宮崎駿•小野田羊一、岩波書店、2014年
1978年 集英社、子どものための世界名作文学13(須藤出穂訳)
1989年 ポプラ社、こども世界名作童話(上野紀子訳)
1990年 ポプラ社文庫(安藤由紀訳)
1993年 講談社、講談社青い鳥文庫(尾崎義訳、和地あつを画)
1994年 集英社、子どものための世界文学の森13(田中槇子訳)
2013年 角川書店、角川みらい文庫(冨原眞弓訳、もけお画)
2015年 ポプラ社、ポプラ世界名作童話館8(角野栄子訳、あだちなみ画)

Tottori 空き家活用の模索者

鳥取県の2件の空き家の管理運用を模索しています。今のところ、家族に空き家を手放す気持ちはなく、時々そうじに行っていますが、人の住む予定もなく… 私設図書室、または地域の集会所のような形にできないかと妄想中です… 空き家があるのはともに限界集落。空き家から考える 地域のミライ を記事にしていけたらと思います(^^)

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