空き家①-2 空き家の誕生
私が幼い頃を過ごした家は、いま空き家同然です。空き家「同然」と書いたのは、持ち主、管理者のいない 完全な空き家ではなく、持ち主(父)、管理者(60代の両親)はいるが、管理者は別のところに住んでおり、普段は誰も住んでいない「実質」空き家だから。
この空き家①には、母屋、農機具などをしまう作業場、蔵があり、さらに耕作放棄地&境界があいまいになった山があります。
戦前までは一家総出で農業だけで生きていた我が家にとって、これらの場は貴重な生産拠点かつ生活の場でした。
しかし、いまその拠点は空き家になりました。戦後に専業農家から兼業農家になった我が家では、農業はお金と時間のかかる生産性の少ない生業と化しました。兼業のため家族総出で動ける時間は少なく、農機具を扱える人も高齢化して、お米の出荷はおろか、自分の家で食べる作物すら自給できない状態になりました。
町に働きに出るのに車で30分、近くのスーパーや病院なども同様… 小学校はバスで20分のところにありましたが、保育園や高校はバス30分以上。
我が家のとった決断は、不便な山での生活を捨てて、町に新しい家を買い、生活の拠点を移すことでした。
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