古墳好き必見!中国地方で初めて発見された彩色古墳ー梶山古墳
皆さんは、鳥取県には古墳がたくさんあることをご存知でしょうか?
鳥取県にはなんと総数13,000基以上の古墳が発見されています。全国第2位の多さです!
(正確には13486基。『平成28年度 周知の埋蔵文化財包蔵地数(古墳・横穴)』文化庁調べ)
発掘された古墳のみをカウントしているので、まだ発掘されていないものを含めるともっと多いです。(発掘調査には多額の費用がかかるため、なかなか進まないのが現状…)
鳥取県東部にあたる因幡地方では、約2000基以上の古墳が造営されています。
今回は、鳥取市国府町で昭和53年に発見された「梶山古墳」を紹介するに記事です。
この記事を読んで、「梶山古墳」をはじめとして、鳥取の古墳に興味をもっていただけたら幸いです。
梶山古墳の3つのポイント
1,彩色壁画をもつ(中国地方で初めての発見)
2,変形八角形墳
3,石積みの方形壇(祭壇と考えられる)を備えている
公開日 古墳の前側や、石積みの方形壇(復元)は常時見学可
石室内部は非公開、毎年10月上旬に無料一般公開
行き方 (車が便利)鳥取市内から車で20分、岡益橋北交差点を入る、無料駐車場あり
(公共交通機関)JR鳥取駅から岡益橋バス停下車、徒歩15分
梶山古墳は、鳥取市内から車で10~15分ほど、大伴家持が万葉集最後の歌を詠んだことでも有名な因幡国庁跡のある国府町にあります。因幡万葉歴史館を目安にしていくと、わかりやすいです。万葉歴史館のなかには、梶山古墳の石室が復元されており、普段は非公開の石室の内部も知ることができるのでおススメです。
梶山古墳は、因幡万葉歴史館から車で10分ほどの小高い山の中にあります。平成8年に公園として周辺が整備され、無料の駐車場があります。古墳の前側や石積みの方形壇は常時見学が可能ですが、石室内部は非公開です。毎年秋に石室内を無料一般公開しており、地元のガイドさんが古墳全体について説明をしてくださいます。私も、はじめて今年、家族と一緒に訪れ、説明を聞きました。
梶山古墳が発見されたのは、1978年(昭和53年)。彩色古墳としては中国地方で初めて発見された古墳でした。山陰地方の装飾古墳の多くは線刻であったため、梶山古墳のような彩色された壁画の見つかる古墳は珍しく、奈良の高松塚古墳に次ぐ第一級の装飾古墳として全国的に脚光を浴びたようです。
古墳の保存修理事業に伴い、平成3~7年度まで試掘調査が行われ、当初、円墳と思われていた古墳が変形八角形墳であることが明らかになりました。
さらに、古墳の前には祭祀の広場として使われた方形の壇が確認されました。最も高いところで高さ約3メートル、東西約14メートルという大規模なもので玄武岩が石垣状に築いてあることが特徴的です。
石垣は、三段になっていますが、2段目の石垣は1段目の石垣を補強するために内部に積まれたもので、実際は二段になっていたようです。発掘された本物の石垣は保護のため埋め戻されており、現在見学できる石垣は、本物の石垣の外側に復元されたものです。
古墳の上には、笹が青々と茂っていました。
ガイドさんによるとこの笹は「オカメザサ」(酉の市で売られる熊手の飾りにも用いられるもの)で、古墳の上の地盤を固める役割があるそうです。自生したではなく、古墳の上部が崩れないようにとわざわざ植えられたものだそうです。「昔は地震が来たら竹林に逃げ込めと言ったものだが、竹の根はよく張るので、地面が固くなるのだ」と教えていただきました。
コロナ禍で、お互いマスクをして、他の見学者とはソーシャルディスタンスを保ちながらの見学でしたが、ガイドさんからいろいろなお話を伺うことができました。
ガイドの皆さんは地域の方で、ボランティアで集まってくださっていました。
史跡や文化財を守るためには、史跡を整備する人たちやその価値を正しく伝える人が不可欠です。今回の特別公開のために古墳周辺の草刈りなど整備草刈りなどをしてくださった方々、また、当日、地域のボランティアガイドの皆さんに、感謝です。
【参考文献】
下記で紹介する冊子は、無料で配布されています。
教育委員会文化財課がまとめたもので、手に取りやすく、わかりやすい冊子です。
「因幡の古墳~王者の墓をめぐる~」(鳥取市教育委員会文化財課、2017年3月刊行)
「山陰史跡ガイドブック第2巻 山陰の古墳 改訂版」(史跡整備ネットワーク会議、2018年3月刊行)
「装飾変形八角形古墳 国指定史跡 梶山古墳」リーフレット(鳥取市教育委員会)
「梶山古墳」の近くには、安徳天皇の陵墓参考地となっている「岡益の石堂」があり、ぜひ合わせて見学してほしい史跡です。
車の方は、因幡万葉歴史館や大伴家持歌碑などもおススメです。
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